おもしろコラム1月号2024
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i.ihttps//ito-usamnfo/orange痛もでた。ところが、2週間もこれをやり続けたら、筋力がついたのか、あまり苦にならなくなった。パーキンソン症を患っているTさんは、タクシーで往復する。タクシー運転手の手も煩わさなくてはならないので、決まった人を指名する。席につくとまず飲むのが薬だ。薬によって痙攣も痛みも和らぐのだという。大量に飲むビールのせいで、トイレにいくのも一苦労、体重も重いので、ここでも、小生の加勢が必要だ。大人用のおしめの着用を勧めるが、かたくなに拒否する。最高齢のお客はUさんで86歳。小さなノートにびっしりと曲名が書いてある。今でも新曲に挑戦しているという。店が開く4時に一番乗りで来店する。帰りはタクシーだが、来るときは歩きだ。20歳は若く見える。 84歳の女性Sさんは、昔から歌が上手だ。昨年、ご主人を亡くしたが、かえって元気になったようで、彼女のうたうシャンソンに思わず聞きほれる。友人の多くは、亡くなったか介護施設に入っているという。施設では酒を自由に飲めないし、歌も童謡ばかりでいやだという。政府は介護職員の給与をあげるそうだが、実は、タクシー運転手も小さなスナックのママも介護要員なのだ。せめて、ボトル代ぐらい、介護保険の対象になっても罰はあたるまい。元気に長生きの高齢者のお役に少しでもお役に立つならば、後期高齢者がスナック開店するのも無駄ではあるまい。*海辺のカラオケスナック        (ジャーナリスト 小恋路(オレンジ)井上勝彦:/-   絵:吉田たつちか)2022011月号-171

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