おもしろコラム1月号2024
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どのくらい食べれば、あるいはどの部分を食べれば毒なのかが明らかにされ、上手く食生活に取り入れられて来ました。ふぐは肝臓や卵巣を食べない、トリカブトは弱毒化処理して漢方薬「附子(ブシ)」として利用、ジャガイモは芽を除く、青梅は梅干に加工して食べるなど、工夫すれば安全に食べることができます。このように毒のある食材を安全に食べることができるようになったのも長年に亘る食経験の積み重ねによるものです。一方、食経験の浅い食品ではアマメシバ事件のような食中毒事故も起りました。アマメシバ事件とは、東南アジアの熱帯雨林地帯に生えるトウダイグサ科常緑低木アマメシバによる食中毒事故です。2003年に40代の女性がアマメシバの粉末加工品を1日4回、計8グラムを130日間にわたって摂取した結果、閉塞性気管支炎を起こして入院しました。しかし、原産地の東南アジアでは、事故もなく普通に食べられていたようです。なぜ現地では事故がなかったのかというと、煮て食べられていたことと(煮ることによって毒性物質が揮発あるいは無毒化されるものと解釈さ1月号-29れています)、恐らくは長年の食経験でどれくらい食べると危険なのかがわかっていたからだと考えられています。  

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