おもしろコラム1月号2024
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江戸後期に書かれた料理本『万宝料理秘密箱』、別名「卵百珍」という本があるのですが、ご覧のとおり卵料理が崎鶏田楽」という料理。田楽ですから、串に刺しているわけです。まさに現在に繋がる焼き鳥の元祖かも知れませんね。●焼き鳥の元祖はスズメ焼き?串焼きの焼き鳥はスズメの丸焼きという説もあります。スズメはイネを食べる害鳥ですから、網で一網打尽にして、串に刺しバリバリと丸かじりにします。現在でもスズメの焼き鳥を出すお店がありますが、スズメが年々減っており捕る人も少なくなっているためスズメ焼きもあまり出回らなくなっているそうです。実は日本人が好んでニワトリを食べるようなったのは江戸時代の終わり頃、幕末の英雄坂本龍馬が暗殺前に食べようとしたのがしゃも鍋。明治になって肉食が推奨されますが、ウシもブタも日本人はちょっと食べ慣れてない時代、鶏肉はまだ食べやすかったようです。でもニワトリはまだまだ高級。高かったんですね、そこで庶民、あるいは下層の人が食べたのがニワトリの内臓をかば焼きにしたものでした。ちなみに欧米、特にアメリカでニワトリは安価で貧困層や黒人がよく食べる肉とされ、チキンは臆病者、コックは男性器といった隠語になったりしています。明治の後半には焼き鳥の屋台が現れます。記録によると、出していたのはやはり内臓肉か端っこのくず肉。ウシ、ブタ、イヌ。そしてスズメやツグミといった小鳥類。これは終戦後の闇市まで続きます。103種類も載っているくらい江戸時代の人々は卵料理を愛したのですが……、鶏肉の料理は一種類だけ。それが「長    1月号-50          

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