おもしろコラム1月号2024
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性に関しては終戦直後の食糧難の時代より摂取カロリーが低くなっています。その理由はダイエットや健康のためであり、昔は多く摂っていた炭水化物が減っているのが原因。中には、栄養失調状態になる人や、極端な過食や拒食になる摂食障害になる人が、女性ならは生涯に10人に1人の割合でいるという時代になりました。食は文化とはよく言ったもので、戦前は「白いご飯をお腹いっぱい食べるのが夢」だったのが、現在では「お腹いっぱい食べたいけど、食べると太るから食べない」という食文化になったのです。そう、ダイエットブームは現在の食文化に大きな影響を与えているのです。スーパーマーケットやコンビニに行くと「糖質ゼロ」と銘打ったカップ麺や「低カロリー」「コレステロールゼロ」のドレッシングにマヨネーズなどが並んでいます。最近まであまり注目されていなかった「サラダチキン」や「鯖の水煮」の缶詰が大ヒットしたり、「低糖質のパン」やごはんに混ぜて炊くカロリーがほとんどない「コンニャク」が商品化されて売られていたりします。これら太りにくい食品の流行は、人類に文明が生まれてはじめてのことでしょう。さてさて、20世紀後半から21世紀に生まれた「ダイエットブーム」は、明らかに食文化を変えてきました。いまや地球や世界は狭くなり、日本からはるかに遠い南半球やアフリカ、北欧といった場所の食材や料理が、スーパーマーケットに並んだり電話やネットでカンタンにお取り寄せができる時代となりました。 「とにかくお腹いっぱい食べたい」という時代は去り、「美味しいものを食べたいけど……」と、食べるのを躊躇したり、美味しさよりもカロリーオフや糖質を少ないものを選ぶ人が多くなりました。食文化とは面白いものですね。1月号-57       (食文化研究家:巨椋修(おぐらおさむ))201901〜202001--        

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