おもしろコラム2月号2024
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/.    飛んだ。威圧のためだろうが壮観だったので、子供らを呼んで二階で眺めた。新宿はどの劇場も満員、殊に『太閤記』を上映している帝都座の入りは大変らしい。角を曲って一丁ぐらい列が続いている。私の出演している松竹館も、三階まで人が詰まった。…観客は殆んど全部、若い男である。落語を聴き、私の漫談を聴いて、朗らかに笑っている」庶民は終戦直後から平和を楽しんでいる姿を伝えている。』と。生活が厳しいからこそ、人々は娯楽を求める・・・。この一見すると、矛盾するような世相が起こるということは、即ち、「遊びをせむと生まれける」ではないですが、つまりは、人は何のために生きているのか・・・という、人だけが持つ生きることに対する目的意識の是非にまで踏み込むことなのかもしれません。     (小説家 池田平太郎絵:吉田たつちか)2008022月号-107

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