おもしろコラム2月号2024
119/136

       武者は坂東に限る日本資本主義の父・渋沢栄一は、天保11年(1840年)、武蔵国榛沢郡(現埼玉県深谷市)血洗島村の豪農に長男として生まれた。渋沢栄一は、当時としては記録的長命の91歳まで生きた    2月号-118  人だけに、どうしても晩年の神様イメージで見られるようだが、彼の孫で大蔵大臣、日銀総裁を務めた渋沢敬三によると、「80歳を過ぎた頃から、特に、この世の人ではないような独特の境地に達していた」という。いわゆる、「解脱」というものか。この点、元日本商工会議所会頭・永野重雄は、晩年の栄一に接した経験を持つが、その永野によると、「私が会った頃の渋沢さんは腰は低いし、優しいし、親切だし、もう、神様みたいだったが、若い頃の写真を見ると、今にも掴みかからんばかりの面構えだった」と。つまり、晩年の神様イメージで見られがちの栄一だが、その実若き日には高崎城乗っ取り、横浜焼き討ちをたくらむなど、なかなかに血の気が多い、   

元のページ  ../index.html#119

このブックを見る