おもしろコラム2月号2024
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とても良い役割をしていました。常識的な話でなく荒唐無稽な話を「共有できる」ということが、仲間の証なのです。神話も同じで、国の成り立ちを国民全員で共有することが重要です。日本の場合は伊邪那岐命(イザナギノミコト)と伊邪那美命(イザナミノミコト)が、混とんとした世界を棒でかき混ぜたことから神話は始まります。現代の感覚だと有り得ない話です。 『因幡の白兎』など他の日本の神話も、現代の感覚だとあり得ません。それでも有り得ない話を受け入れ、周囲に伝えることで結びつきを強めてきました。そして、現代では思いつかないような有り得ないことがあったからこそ、国というものが生まれたと感覚的に受け入れます。加えて、神話は自分のルーツを知ることにもつながります。混とんとした世界を治めてくれた人がいるからこそ、自分がここにいることができると。歴史を知ることも、これにつながります。ですから、神話も民話もただ知るだけではいけません。誰かから聞いたら、今度は自分が信頼する相手に伝える。この繰り返しが人々の結びつきを強めてきました。インターネット時代の昨今だからこそ、大切な人に自分が聞いた話をしてみませんか。数字だけでははかれない結びつきが強まりますよ。     (コラムニスト ふじかわ陽子絵:吉田たつちか)202102/-   2月号-121

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