おもしろコラム2月号2024
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ノ酸であるグリシンやプロリンについてもコラーゲン以外のたんぱく質にも広く存在するアミノ酸です。以上のことから、コラーゲンを選択的に食べることが、体内でコラーゲンを作ることにどれほど役立つのかと疑問視されています。国立健康・栄養研究所の報告書「コラーゲンの安全性と機能性」においてもコラーゲンの美肌効果については懐疑的に書かれています。ところが、最近、京都府立医大の研究グループによってコラーゲンの美肌効果に関するメカニズムの一端が明らかにされ、その研究成果が学術雑誌に掲載されました。京都府立医大の佐藤健司教授らの研究によると、ブタや魚のコラーゲンを食べると、コラーゲンに多いアミノ酸のヒドロキシプロリンとプロリンが結びついたペプチドが血中に長時間にわたって増えることがまず明らかとなりました。そして、このペプチドがコラーゲンを作っている繊維芽細胞という細胞に働きかけ、その増殖を促進することを突き止めました。つまり、これまで考えられてきたようにコラーゲンは体内でアミノ酸やペプチドに分解されて単にコラーゲンを生成するための材料として使われるだけではなかったということです。コラーゲン由来のペプチドはコラーゲン生成のための材料となるだけでなく、コラーゲンを作る細胞に働きかけてコラーゲンの生成を促進するという重要な役割を果たしているのではないかということです。佐藤教授らの研究ではまだ試験管レベルの研究でメカニズムを説明しているだけですので、実際に効果があるのかないのかは、今後の臨床研究によって証明されるべきものです。しかしながら、少なくともこれまでのコラーゲンの美肌効果に対する批判的な論調に楔(クサビ)を打ち込むものではないかと思います。信じるものは救われるかも。     (医学博士 食品保健指導士 中本屋 幸永絵:吉田あゆみ)201202/-     2月号-51

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