おもしろコラム2月号2024
67/136

      農耕が生まれたのはお酒が飲みたかったから? 「お酒は百薬の長」「ストレス解消にもってこい」なんて昔から申しますが、最近の研究によりますと、お酒は体にも心にも良いことはひとつもないそうです。 「適量なら」とか「少量なら健康に良い」などということもなく、一番健康にいいのは、お酒を飲まないことだという論文が出ており、晩酌を楽しみにしているわたくしとしては非常に残念!大昔、約1万年前、人類は狩猟採集の生活をやめ、農耕をはじめます。これまで農耕を始めたのは、安定的に食料を得るためであったと考えられてきました。ところが最近の研究で「食料を得るためではなく、お酒を飲むためだったのでは?」という仮説が出てきたのです。それは人類最古の遺跡とも言われるトルコのギョベクリ・テペに、コムギからお酒を造った可能性が浮かび上がってきたのです。この遺跡のあたりは、人類が農耕を始めた地なのですが、遺跡は農耕が生まれる前に作られたと考えられているので、農耕誕生前にすでに酒造りが行われていたのかもしれないのです。他にもイスラエルの洞窟で発見された石臼を調べたところビール造りが大規模に行われていたことが明らかになっています。この場所も、農耕以前の狩猟採集民の洞窟だったといいます。人類とお酒との出会いは遠い過去で、まだ人類がチンパンジーやゴリラと分かれていないころだと言われています。その頃、生き残りをかけて完熟し発酵し、ややアルコールに変化している果物を食べていました。本来、アルコールは猛毒なので、アルコールを分解できない我々のご先祖様は飢えて死んだり、酩酊したりしているところを猛獣に襲われてしまいますから、アルコールを分解できるご先祖様だけ生き残ったのではないかと言われ         2月号-66  

元のページ  ../index.html#67

このブックを見る