おもしろコラム2月号2024
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では観賞するためではなく、その球根を食べるために育てられました。大航海時代になってジャガイモが地中海地方に伝わると、シクラメンの球根は豚の餌に変わってしまったのです。日本に伝来したのは、そのようになってからの明治時代の頃。その時、シクラメンが『豚のパン』と呼ばれていたせいで日本では『豚のまんじゅう』と名が付けられてしまいました。パンをまんじゅうと訳すところが明治の日本人らしいですね。そして、もうひとつ面白い話があります。西暦一五十年頃に活躍した古代ローマの作家、アプレイウスが著書のなかで「シクラメンを鼻に詰めると抜け毛予防に効果がある」と記しているそうです。古代の人々も抜け毛に悩まされていたのですね。効果の程は解りませんが、シクラメンの香りも楽しめて一石二鳥かもしれません。勇気のある方は是非お試しあれ!     (小説家 華山 姜純絵:吉田たつちか)201502/-  2月号-77

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