おもしろコラム4月号2025
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元の話と違う点は、他にもあります。亀の設定です。明治時代以前は、亀が乙姫です。浦島太郎に助けられた亀が彼に好意を寄せ、今度は人間の姿になって再び現われる。そして、二人は竜宮城やそれに準じる施設で仲睦まじく暮らすというのが通常パターンでした。よく考えてみれば、現代の『浦島太郎』はおかしいですよね。助けた亀が竜宮城勤務のスタッフだとしたら、乙姫が浦島太郎をもてなす理由が分かりません。ですが、助けた亀が乙姫自身なら納得です。男女の関係をにおわす記述は、明治時代以後は消しているのです。これを踏まえて、続きを読んでいきましょう。ラストは2パターンある=私たちがよく知っている『浦島太郎』の結末は、浦島太郎が玉手箱を開けて老人になるものです。ところが、鎌倉時代末期から江戸時代にかけて集められた『御伽草子』の結末は違います。玉手箱を開けた浦島太郎は鶴に変化し、蓬莱山に飛び立つのです。蓬莱山で亀の乙姫と仲良く暮らしたそうです。蓬莱山とは架空の国にある山で、極楽浄土と同じようなポジションと考えていただければ結構です。鶴と亀といえば長寿の象徴として日本で昔から愛されている組み合わせ。結納などお祝いの席にはモチーフとして現代でもよく登場しています。ということは、玉手箱を開けて老人になるというバッドエンドとは違います。ただ、完全なハッピーエンドとは言い難いものです。たのでしょう。 第4章 教養のコラム   4 月号 -123

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