その「社会」を大切にするためにできることをしただけです。加えるなら、信頼関係を崩さないために、隣の意地悪じいさんが何をしたとしても復讐をすることなどありません。攻撃に反撃をしたなら、そこで新たな関係「敵」となってしまいます。これでは平穏な生活など送れません。だから、新たに正直じいさん自身の幸せを、彼自身の中で生み出しました。一方、意地悪じいさんは妬み嫉みで凝り固まり、常に正直じいさんを監視しています。一見、人間臭いように感じますが実は違います。意地悪じいさんは自分を全く見ていないのです。つまり、自分自身も信頼していないといえます。こうなると、誰とも信頼関係を結べず、自分の社会を築くこともできません。非常に孤独だったでしょう。孤独だったからこそ、財宝を手に入れた正直じいさんが羨ましかったのかも知れませんね。人間は一人では生きていけません。だからこそ、周囲と折り合いを付けながらも「社会」に所属し生きていきます。妬み嫉みは自信を社会から孤立させる要因です。裏を返せば、現在孤独な人は妬み嫉みを止め、誰かを信頼することから始めれば、孤独感は薄れていくでしょう。「枯木に花を咲かせましょう」とは、幸せで実りある人生のことなのかも知れません。(コラムニスト 絵:吉田たつちか)202104ふじかわ陽子/- 4 月号 -126
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