おもしろコラム4月号2020
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夏目漱石の小説「三四郎」の中に、汽車の中で三四郎が乗り合わせた男に、「これからは日本もだんだん発展するでしょう」と言うと、「滅びるね」と答えた・・・という有名な話がありますよね。この小説の連載が開始された明治41年は日露戦争終結から3年。国民は戦争による巨額の財政負担のため、塗炭の苦しみに喘いでおり、お手上げの明治政府は「戊申詔書」を出して国民に倹約を呼びかけるしか方策がなかったと言われています。ところが、その経済苦境は第一次世界大戦という僥倖により救われ、こうなると、喉元過ぎれば熱さを忘れるで、成功体験のみが形となって残り、結果、「滅びるね」と言った男の言葉通りの展開となっていきます。日本を滅亡の瀬戸際に追い込んだ太平洋戦争の敗戦(滅亡しなかったのは、東西冷戦という「神風」が吹いたからとも。)というものの遠因を探っていくと、詰まるところは戊辰戦争、西南戦争を勝利するために軍部の力に頼ったということがあったのでしょう。でも、やはり、それに輪を掛けたのは、日清、日露戦争の勝利ということがあったのは否めない事実のようです。軍の発言力は流した血の量に比例するおもしろコラム(4月編)139

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