として捉えていたようだ。しかし、庶民の桜観は少し違う。元々の庶民の花見は、春の訪れを噛み締めるものであった。カレンダーなど無い時代、桜の開花こそが春の到来だった。そして、花は散ったとしても、また来年美しい花を咲かせる桜を、命の喜びとして見ていた。だからこそ、大勢で集まり大騒ぎをした。今でも、心の奥底にこの昔の思いが残り、花見を楽しむのではないだろうか。全ての生物が活動し始める春、大いに命の喜びを謳歌したいものだ。(文:講談師 深々と積もった雪もすっかり溶け、暖かな日差しが大地を照らすようになってきました。どんなに冬が長くても、春は確実にやってくるのです。今年も日本列島の南の方から桜の開花の便りが届きました。桜の木の寿命はどれくらいなのでしょうか。日本三大桜と呼ばれる桜があります。山梨県実相寺の神代桜と岐阜県本巣市の薄墨桜、福島県田村郡の三春滝桜です。その樹齢に驚かされます。なんと、神代桜は二千年、薄墨桜は千五百年、三春滝桜は千年と推定されているのです。 /-第1章 季節のコラム これほど長く生きているのですから、大正時代に国の天然記旭堂花鱗絵:吉田たつちか)200604日本人と桜4 月号 -15
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