おもしろコラム5月号
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たようです。そしてそれを可能にした背景には、チンギス・ハンが、「人間に差別なし、地上に境界なし」を掲げ、強靱な意志でそれを堅持していたことがあったでしょう。その意味では、信長が「天下布武」を掲げて覇業に邁進したのに似ており、言うならば、チンギス・ハンという人物は、信長的な価値観の変更を家康的な辛抱で成し遂げた人物という見方も出来るでしょう。ちなみに、チンギス・ハンの軍隊が大帝国を築くことが出来た背景    5月号-130  の一つには「砂漠」の存在があります。砂漠というと、どうしても、サハラ砂漠のイメージがありますが、チンギス・ハンが舞台としたゴビ砂漠やタクラマカン砂漠は、草原とまではいかないまでも草は生えており、馬や家畜にそれを食べさせながら移動することが出来たわけです。堅牢なものではないことを我々も肝に銘じるべきでしょう。   (小説家 池田平太郎 /-  絵:吉田たつちか)201905

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