おもしろコラム5月号
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くぐろうとすると、その瞬間、水圧で背中が船底に吸い付けられてしまうそうで、こういうときは慌てずにくるりと反転して、お腹の方を船底に付け、そこから、船底を這うようにして海面へ上がってくればいいんだとか。でも、私も含め、現代日本人の大半はそんなこと知らないでしょうから、普通、まず、パニックになりますよね。そう言うと、今の時代に船の下なんて潜る機会はない」と言われましたが、人間、いつどうなるかわからないわけで、こういう話はきちんと記録しておくべきだと思いますよ。海と言えば、大正生まれの俳優・池部良は、子供の頃、海水浴場で握り飯を食べていたら、隣でビールを飲んでいたおじさんが、「ありゃあ?沖に走っているの、一等巡洋艦の妙高じゃねえか。東京湾で、あ来て、防波堤にぶつかって、この小屋なんか、ぶっ飛ばされちまうぜ。      現代人が知らない海の常識明治生まれの映画監督・黒澤明は、子供の頃、「水練」の授業で「船の下を潜って向こう側に出る」ということをやったそうです。現代人からすれば、「それって、何が難しいの?」と思うでしょうが、実際には海に潜って、船の下をおんない、ばそかこ早のい女速二力人出。し早やくが、っこてっ。ちケへツ来かいら。引でいけてえる波波が、くこるこぞに」やとっ怒て5月号-145   

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