おもしろコラム6月号
112/187

        コロナ禍で一躍有名になった妖怪をご存知でしょうか。それは「アマビエ」です。江戸時代後期、現在の熊本県にあたる肥後国の海上に突如現れ、豊作と疫病の予言をし「私の姿を描き写した絵を早々に人々に見せよ」と告げたとされています。さて、ここで疑問です。絵を見せたところで何が起きるのでしょうか。これをアマビエは教えてくれません。それでも、アマビエと出会った人は姿を描き写し人々に見せました。その絵が約200年経った今でも愛されています。現代の絵師も様々なアマビエを描き、人々と共有しています。この「共有」こそが、アマビエの狙いだったと考えられます。疫病が流行る不安定な時代だと、どうしても孤立しがち。それをアマビエの絵姿を共有することで、誰かとつながれるのです。ただ消費されるイラストレーションではありません。誰かが祈りのために描いたアマビエなのが良いのです。祈りはとても勇気を沸き立たせるものでもあります。他者への思いやりの心が祈りであり、これを受け取るのも送るのも自己肯定感を増す作用があります。自分が誰かの役に立てている、自分は誰かに元気をもらっていると分かるからです。これも孤立を防ぐ作用があります。そして何より、アマビエの存在が良いのです。一見、何一つ対策を告げず役立たずのように感じられるでしょうが、れはとても自由なのです。何にも制約されない、広がりのある存在です。寄自り由添だうか存ら在ことそし、て自は分優の秀心で持す次。第何でも邪言悪わなな存い在こにともでな、る受でけし取ょるう人。の何想の像対に策アもマ言ビわエずの、存何在も価し値なはか委っねたら妖れ怪まにす、。憎そ6月号-111アマビエ      

元のページ  ../index.html#112

このブックを見る