おもしろコラム6月号
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その意味では、秀吉と対照的に、利権よりも領土の拡張と保全にこそ熱心だった人物がいます。 徳川家康です。家康が、豊臣家から政権を簒奪するに当たっては、やはり何より、秀吉死去の時点で、既に大領土を持っていたことが大きいでしょう。 そして、覇権確立後は、さらに、徳川家の領土を増やし、豊臣家を始め、大領土を持っていた大名を縮小、もしくは取りつぶし、一位と二位の差をさらに圧倒的な物にしていきます。 家康は、その死に臨み、息子、秀忠から、「父上亡き後は伊達政宗などは心配です」と言われたとき、「政宗くらいになれば目分量がわかるから何も心配はいらない」と言ったといいますが、これなどは、「徳川家が確立した圧倒的な領土の大きさ」を指しているのだと思います。 このことからも、領土というものの侮れない価値がわかるでしょうか・・・。 絵:吉田たつちか)即ち、領土という固定資産を保有しているということは多かれ少なかれ、何らかの生産を行うことを可能にする基    6月号-120  盤を保有していると言え、この点では、イコールではないにしても、領土保有はある程度の収益が期待できると。 この点は、何だかんだ言っても、今でも、アメリカやロシアや中国など、広大な領土を保有している国が世界に大    /   きな発言力を有していることがその顕著な例でしょうか。       (小説家池田平太郎

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