おもしろコラム6月号
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/-    ます。) 話を戻すと、そんなふうで15大財閥はあまり実態を反映していたとは言えず、実際には、「三井、三菱、住友、安田」に代表される4大財閥、そこから安田を除いた3大財閥、そして、さらには住友をも除いた三菱と三井の2大財閥に集約されるようですが、ただ、三井と住友が江戸時代からの豪商の延長線上にあったのに対し、三菱と安田は幕末維新の動乱の中で礎が築かれたという点で大きく趣を異にします。 井と住友が実際の経営を有能な大番頭に任せ、創業家は「君臨すれど統治せず」を旨とすることで「継続」する体制を確立していたのに対し、短期間に成長を遂げてきた三菱と安田が大財閥として熟成するには今少し時間的猶予が必    6月号-156  要で、言い方を変えれば、「優秀な後継者の登場によってのみ熟成する機会を与えられた」ということだったでしょうか。 三菱などは、今、岩崎彌太郎の盛名があまりにも大きすぎ、中には財閥解体のときまでずっと彌太郎だったと思っている人もいるようですが、もしそうなら、彌太郎は満の110歳。つまり、その後の後継者たちに宜しきを得ていなければ、彌太郎一代限りの壮大な打ち上げ花火で終わってしまった可能性もあったということですね。 ちなみに、彌太郎と同世代の安田財閥の創始者・安田善次郎は82歳の時に、経営方針を巡って娘婿(ジョン・レノン夫人オノ・ヨーコの父)を放逐。とかく、こういう人たちは強烈な個性で時代を切り開いてきた反面、過剰なほどの自信に満ち満ちており、なかなか、実権は手放そうとはしないもののようで、その意味では、彌太郎は良い時期に死んだと言えたでしょうか。 絵:吉田たつちか)201806すなわち、長期にわたって熟成を重ねてきた三    (小説家池田平太郎

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