おもしろコラム6月号
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        日本は海に囲まれた島国です。47府県には海があり、漁港や漁村があります。首都東京にも漁師さんがいます。海なし県でも鯉の養殖をやったり、渓流の魚が伝統的に食べられており、また、海なし県である山梨県は人口に対して寿司屋の数が日本一多いと言われています。やはり海なし県の京都の料理ではハモ料理が欠かせません。また皆さんがスキーや山あいの温泉旅館にいったとき、海魚のお刺身が出てきたのを経験したことがあると思いま    6月号-36  す。それくらい日本人はお魚大好き民族であり、魚の食文化がとても発展した国ともいえるのです。全国にある漁港や漁村では、ほぼ毎日漁に出て魚をとり漁港に集められ、全国に運ばれるのですが、漁港や漁村、あるいは漁師さんのところには、多少型が悪かったり傷がついていたりして売り物になりにくい魚が余ることが毎日のようにあるそうです。当然、そういう魚は漁師さんや魚屋さんが食べることになります。新潟の漁師の家に生まれた東京海洋大学のながさき一生氏によると「ズワイガニとかはいまあまり食べたいとは思いません。子どもの頃に飽きちゃって」なんてことになるのだとか。そういった漁村や漁港では、毎日のように出る魚をより美味しく、あるいは飽きないためにいろいろな工夫をして食べるようになります。これも魚食文化の一つですね。例えば東北の三陸地方ではアワビがよく捕れるのでアワビカレーが生まれ、神奈川の三崎町はマグロの水揚げ基地として有名ですが、地元の人はマグロをバーベキューするのだとか。アワビカレーにしてもマグロバーベキューも、他の土地では考えられない発想ですね。私の出身地神戸市の垂水という町では小魚のいかなごがよく捕れたようで、地元の人が「くぎ煮」という家庭料理日本の魚食文化とこれから      

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