おもしろコラム6月号
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●歴史の影にビールあり最高ってわけですね。  シュメール文明から人類に現れたビールですが、後に古代ギリシャや古代ローマでも人々のノドを潤します。 やがてビールはヨーロッパ諸国にも広がっていきました。時は17世紀、イギリスで迫害されていた清教徒(ピューリタン)たちが新天地を目指してアメリカ大陸に向かいます。彼らの船『メイフラワー号』には400樽もの大量のビールが積み込まれていました。別に宴会をするためではないですよ。ビールは水よりも腐りにくかったため積まれたのです。記録には途中ビールがなくなってしまったという記録が残っており、これは命をつなぐ水分がなくなってしまうに等しく、食料よりもビールがなくなることは深刻であったようです。 日本で最初にビールを飲んだ人たちも、大航海の途中でした。幕末、アメリカの軍艦ポーハタン号と咸臨丸が勝海舟、福澤諭吉、ジョン万次郎といった日本人を乗せてアメリカに向かいました。 往きは太平洋を横断してアメリカに向かい、帰りは大西洋を渡ってアフリカ大陸沿いを行き、喜望峰を回ってインド洋を超えて日本に帰国するという、文字通り世界一周の旅でした。 一行が最初にビールを飲んだのは、その往路のとき。そのときの記録を玉虫左太夫(たまむしさだゆう)という武士が書き残しています。 「「苦味ナレドモ口ヲ湿スニ足ル」」これが日本人が最初にビールを飲んだときの記録です。            6月号-40  

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