おもしろコラム6月号
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ちなみに「豚に真珠」ということわざは、イエスが語った言葉です。次にお釈迦様。よく仏教では肉食を禁止していると思われていますが、少なくとも釈迦は菜食主義者ではありませ    6月号-62  んでした。というのも釈迦と弟子たちは、托鉢に家々を周り、食料などの施しを受けて生活をしていたのです。人々からいただいた大切な食料を、無駄にするわけもなく、そして当時の人々も釈迦も弟子も、肉食への偏見というものはなかったようです。釈迦たちは提供された食事は何でも食べていたらしく仏教が肉食をタブーとするようになったのは、仏教が中国に伝わり、大乗仏教になってからと考えられています。釈迦は80歳でこの世を去りますが、釈迦の晩年を描いた経典『涅槃経』によると、信者のチュンダが提供した「スーカラ・マッダヴァ」という料理を食べた後、具合が悪くなって亡くなります。この「スーカラ・マッダヴァ」のスーカラはブタという意味、「マッダヴァ」は「柔らかい」という意味ですから「やわらかい豚肉料理」を食べて食中毒を起こしたのではないか? また他の説では毒キノコに当たってしまったというものもありますが、釈迦の死因はよくわかっていません。釈迦が悟りを開いたのは、悟ることができず苦しんでいたとき、スジャータという村娘が持ってきた「ミルク粥」を食べたところ、力がみなぎり、菩提樹の下で大吾したといいます。偉大な聖人の皆様も、いろいろな食べ物エピソードを残しているのですね。         (巨椋修(おぐらおさむ):食文化研究家と言われています。絵:吉田たつちか)202006   /-     

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