おもしろコラム6月号
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の文化がありませんでしたので、煙が多いと相当に煙かったはずです。煙のために眼病にかかる人も多くいたといいますから、ここは囲炉裏の損得でいうと損なところと言えるでしょう。 薪を拾いに行くのは年寄りや子どもの仕事です。むかしばなしに出てくる「おじいさんは山に柴刈りに」というのは薪拾いに行っていることで、決してゴルフ場の芝を刈りにいっているわけではありません。柴とは小さな雑木という意味です。小さな犬のことを柴犬といったがごとく、柴には小さいという意味もあります。ちなみにむかしばなしのおじいさんが山で柴や薪を拾っていたのは、自分の家のためだけではなく、他の家に柴や薪を売っていたと考えられています。 田畑で働いたり力仕事ができなくなった老人は、そういった人の代わりに山で薪を拾うことで生計に役立てることができました。 労働力が不足している家では、一家総出で働かなくてはなりませんでした。そういったとき、独居老人や力仕事が出来なくなった老人は、薪拾いをして売ることでお得。労働力が不足している家にとって薪を売ってくれてお得というわけです。   (食文化研究家巨椋修絵:そねたあゆみ)201306 /-    6月号-65

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