おもしろコラム6月号
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天武天皇が和食に与えた影響        初めて天皇を名乗った天武天皇。この人が後の日本に与えた影響は絶大です。例えば天武天皇は日本書紀・古事記の編纂を命じました。日本書紀と古事記を公的な書物とすることで、天皇が天照大神という神様の子孫であることをあらわしたわけです。 日本国の原型を作ったとさえいわれる天武天皇ですが、日本の食文化にも大きな影響を与えています。天武天皇は日本で最初に「肉食禁止令の詔(みことのり)」を出した人でもあります。これは牛馬、犬、猿、鶏を4月から9月まで食べることを禁止したものです。 読者の中には「え?  に役に立ち犬は番犬猟犬になる。猿は人に似ている。鶏は時を知らせると、まあ猿以外は人間に役に立つ動物。他の野生動物は役に立つどころか、田畑を荒らす害獣であったりするのです。 古来、天皇は米を司る祭司、米作りを邪魔する動物などいない方がいいという考え。さらに時代的には天武天皇が即位したわずか5年前に朝鮮半島の白村江で行われた、日本・百済の連合軍と、唐・新羅連合軍との戦争でボロボロに負けていました。 そして百済は消滅。そんな時代に、日本国王であった天武天皇は自らを天皇と名乗ったのです。これまでの東アジアでは中国の王が皇帝を名乗り、近隣諸国は中国に頭を下げて王を名乗ることが許されていました。 そんな時代に「天皇」という名称を名乗るということは中国皇帝には従わないと宣言したのと一緒。 和食のなりたち他の動物は食べてもいいの?」と思うかも知れませんね。実はいいのです。牛や馬は農耕             6月号-66  

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