おもしろコラム7月号
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池田平太郎絵:そねたあゆみ)201307この辺の経緯を桂は「主命下るによりやむなく・・・」と記しているそうですが、実際には桂自身の意思と判断によっ    7月号-126  て上方行きを決意したわけで、この辺のやりとりを見ていた黒田清隆は、「余計なことは考えずに黙って行けばいいんだ」という薩摩方式よりも、「自分で考えて納得して行く」長州方式の方を是とすべきなのではないか・・・と考えるようになったと言われています。つまり、下級生であっても自分で納得して決めるというプロセスを抜かさないということですね。この点で、私の知人にも典型的体育会系の人がいて、上からのウケは良い反面、下からは「上から言われたことに盲従するのではなく、少しは現場の現実を上に言ってください」などいう反発もあるとか。彼の論理としては、「自分もその役職の時は上から言われることには黙って従ったのだから、彼らもその役職になった以上は従うのが当たり前」というもののようですが、でも、すべての人が彼のような体育会系上がりではないわけで・・・。別の体育会系の友人にこの話をすると、「体育会系というのはそういうものじゃない。最後は実力なんだ」と言いますが、でも、実力と言っても、「数字で評価できない部署にいる人達にそれをどう当てはめるの?ペーパーテストでもさせるの?」・・・と。残念ながら、黒田という人は酒乱で、酔って夫人を殺害したなどと言われるくらいに、あまり、良い印象を持たれていない人ですが、、体育会系で育ってきた人でありながら、違う考え方を認める辺り、やはり、見識はさすがに立派なものを持っていたようですね。     (小説家    /-  

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