おもしろコラム7月号
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     中間管理職の悲哀 大河ドラマ「真田丸」で、外交交渉で苦労して上々の成果を勝ち取ってきたのに、絵に描いたような愚かな主君・北条氏政から撥ねつけられ、板挟みになって苦労する北条家の外交僧・板部岡江雪斎の姿を見て、思わず、中間管理職の悲哀を身につまされた人も多かったのではないでしょうか。現代でも往々にしてよくある光景でしょうが、いつの時代も「部下は上司を選べない」なわけで・・・。結果、無様に「小田原評定」を繰り返した挙句、滅亡したこともあって現代でも北条氏政という人の評価は決して高くはありません。ただ、当時の氏政をとりまく現実はそれほど簡単な話ではなく・・・。実は、氏政の時代、事実上、北条家の軍事面をリードしていたのが、先代氏康の次男で、氏政の弟になる氏照でした。武田、上杉、織田に対しても一歩も引かず、赫々たる戦果を挙げてきた氏照の発言力は大きく、五代当主で甥の氏直に対しても、露骨に未熟者扱いで、隠居の氏政が同席していないと何も言わせなかったという話もあるほどです。 父が死んだら、この叔父さん、持て余したでしょうねえ。内心、頭を抱えていたのでは。まさに、同族経営の悲哀です。氏照は天正18年(1590氏直も7月号-127 

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