おもしろコラム7月号
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絶えており、この時点での蜂須賀家当主、茂韶の父は徳川将軍家から養子に入った人物・・・、つまり、茂韶自身は、第十一代将軍徳川家斉の孫に当たるわけで、血筋的には武士にとっては夜盗どころか「頂点」に位置するわけです。ただ、そうは言っても、蜂須賀家では、かなり、夜盗上がりという評判を気にしていたようで、「何とか先祖の汚名をそそぎたく、夜盗ではなかったと立証してもらいたい」と、郷土出身の歴史民俗学者に依頼したところ、「侯爵家の先祖は確かに夜盗であった。しかし夜盗というものは、その時代には決して恥ずべき職業ではなかった、ということなら、歴史的に証明してみせます」と回答されたとか(笑)。結局、それでは困る・・・ということで、誰か別の人に頼んだそうですが、これってつまり、身分制度を厳格細分化することで秩序を保っていた江戸時代の、(天皇家を別にした)日本の身分ピラミッドの中では最高位に位置するであろう、徳川将軍家の血筋の人でも、一旦、「夜盗上がり」と揶揄される家系に入ってしまえば「夜盗上がり」になってしまうわけで、なんだか、名門名家という物の根拠の薄っぺらさを見たような気がします。(小説家 )201407池田平太郎絵:そねたあゆみ /-第4章 歴史のコラム        7 月号 -135

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