おもしろコラム7月号
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     損な役回り、蒲冠者範頼源範頼という人をご存じでしょうか。 「源」と名が付くことでもおわかりのとおり、源氏の一門で、源義朝の六男、つまり、源頼朝の異母弟にして源義経の異母兄に当たり、通称、蒲冠者範頼と呼ばれる人物です。ただ、二人の才人の兄と弟の間に挟まれ、どうしても影が薄く、また、源平絵巻を構成する上では、義経の功績を光り輝かせる上で損な役回りを背負わされたようですが、実際にはそれほど無能な人物でもなかったようです。源平合戦に置ける源氏軍の構成は、二人が共闘した宇治川、一ノ谷の両合戦に置いては本軍司令官・範頼、別働隊司令官・義経という割り当てになっており、それは、「凡将範頼が苦戦しているところを、天才・義経が寡兵を率いて姿を現し撃破」・・・という構図になりがちですが、義経の働きも結局は正面で敵を引き付けた本軍の激闘あってのことであり、範頼にしてみれば、「殆ど、戦ったのはこちらなのに、美味しいところだけ持って行かれた」・・・的な感もあったでしょう。また、一ノ谷合戦後、義経が干された際には、範頼が単独で平氏追撃戦を行っ       たものの、その進撃は停滞してしまったのに対し、再び登用された義経は、あっ7月号-137

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