おもしろコラム7月号
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     丸の内トイレ考東京丸の内の練兵場跡地を三菱が政府に拝み倒されて、当時の東京府の予算より高い価格で購入したのは明治23年(1890年)。その4年後、三菱は、ここに地下1階、地上3階から成る最初の赤煉瓦ビル「三菱第一号館」を竣工、明治38年までに三菱七号館を完成させます。日本初のオフィス街の誕生ですね。(この間、時代的には日清日露の大戦争を内包していたわけで、改めて、三菱の底知れぬ財力に感嘆を禁じ得ません。)建物にはすべて、電気、ガス、電話、上水道から、水洗トイレまでもが完備。さらに、三菱三号館に至っては、日本の貸事務所初の英国製エレベーターも設置されていたそうで、こうやって出来上がった街並みを見て、人々はロンドンを彷彿とさせるということで、口々に「一丁倫敦(ロンドン)」と呼んだとか。ただ、華麗な外観と裏腹に、下水道だけは整備が間に合わず、明治期を通して、汲み取りだったとか。つまり、せっ7月号-139   

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