おもしろコラム7月号
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しかし、残念なことに鼠小僧のお金の使い道は「賭博」、つまりギャンブルでした。天保3年に奉行所に捕まった時には、ほぼ無一文だったのだそう。質素な家に家具はなく、離縁した妻のもとにも妾のもとにもお金はありません。故郷の親兄弟からは絶縁をされており、天涯孤独の身となっていました。それもこれも、すべてギャンブルのせいだったのです。ギャンブルで負けると盗みに入り、借金を返すとまた賭ける。そんな生活を送っていたよう。こんな人に妻も妾も、血縁のある家族もついていけません。それなのに、世間では「義賊」と実像と違うイメージを抱かれている。相談できる人もおらず独りぼっちになった鼠小僧は、さらにギャンブルへの依存を高めていったことは想像に固くありません。これは水原氏も同じでしょう。嘘を重ね孤独に陥り、ギャンブルへの依存を高める。誰かに相談しようにも、弱みを見せることに抵抗もあったかもしれません。それでも相談すべきでした。鼠小僧も同じです。例え一時的に恥ずかしい思いをしたとしても、自身だけでなく周囲の大切な人たちも不幸にすることはなかったでしょう。今も昔も変わらないギャンブルの恐ろしさ。依存症になった人とどう接していくかは、カジノ構想が持ちあがっている昨今の大きな課題ですね。 (コラムニスト -第5章 教養のコラム    ふじかわ陽子)202477 月号 -193

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