おもしろコラム7月号
29/178

    夏を彩る浴衣暦の上では今の時節を晩夏といって夏の末の意ですが本格的な夏の訪れは実際にはこれからです。盛夏となると風物詩である夏祭りや花火大会が各地で盛んに行われ、最近は色とりどりの浴衣に身を包んだ若い女性の姿が多く見られるようになりました。また女性のみならず渋い取り合わせの浴衣を纏った若い男性も増えているようです。実は浴衣が外出着となったのは明治以降とまだ新しい文化で、浴衣の元を辿ると、古くまだ風呂が蒸し風呂だった時代に着たまま風呂に入った「湯帷子着きます。時代が変わり湯船に浸かる風呂が出来てからは帷子を湯上りの汗取りとして着るようになり、浴衣の字が当てられるようになりました。次第に単に汗取り・水切りであったものから、湯上りのくつろぎ着へと変化して庶民の間に定着し、江戸時代に銭湯が出来て以降は、風呂に通う際に外へも着て出るようになりました。こうして気軽な外出着の要素が強まり、現在の浴衣の原型ともいえる木綿に染めを施した浴衣が普及していったのです。和装の文化が見直されつつある昨今、若い世代がまずは手軽な浴衣に興味を持って取り入れるのは大変に好ましい事と思います。現在は染色技術の進化によって着物と見紛うような華やかな浴衣も多く、時代の変化と共に着方も人それぞれですが、あくまで着物とは一線を画した普段着であることを知っておいて頂きたいと思います。先述の経緯のように、浴7月号-29ゆかたびら」(帷子かたびらとは麻素材の単衣の衣をさします)に行き  ----    

元のページ  ../index.html#29

このブックを見る