おもしろコラム7月号
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   料理の材料って? そうですね。歴史的に有名なのは今から2500年ほど前のインドにシャカ・シッタールダという人がいました。そう仏教の開祖お釈迦さまです。お釈迦さまが悟りを開く直前、「よし! 断食をやめないぞ!」と決意。40日間の断食をしていたとき、村娘が痩せ細ったお釈迦さまを気の毒に思って『牛乳がゆ』を出すんですね。お釈迦さまはついそれを食べちゃった。そしてその後に悟ったといいます。お釈迦さまの悟りに、牛乳が役に立っていたというわけです。このように牛乳は飲料としてはほとんど使われなかった。なぜでしょう?理由はカンタン。「乳糖不耐症」はあるし、それに生の牛乳ってとても傷みやすいんです。牛乳は栄養満点。栄養は人間に対してだけではなく細菌たちにとっても栄養満点なわけで、危険な細菌が牛乳で繁殖してしまうと死に至る場合こともあったのです。だから160年前あたりだと牛乳が飲めるのは、牛を飼っている人かその近所の人のみ。そして1866年に細菌学者のパスツールが、低温殺菌法を考案。これが牛乳にも応用できることがわかって、牛乳を安心して飲めるようになりました。もっともアメリカで低温殺菌法が義務づけられたのは20世紀のはじめ。それまで不潔な牛乳を飲んで亡くなった子どもも多かったといいます。 悟るまで         7月号-56  

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