おもしろコラム7月号
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アボカドの実を詰め、サランラップで巻いたおにぎりのようなものだった。私はその様子を傍でじっと見ていると、そのホームレスの男性は両手にそのおにぎりを置きじっと見つめて食べよ    -笑顔は私の心に焼きついた。色々なことを考えながら私も家路へと急いだ。彼は間違いなく空腹であるのにもかかうとはしない。長い間そのおにぎりを握りしめた後ゆっくりと食べ始めた。その男性の本当に幸せそうなほころんだわらず、慌てて食べようとはせず、たった一つのおにぎりに感謝し、味わいながらゆっくりと食した。物が溢れるこの世の中、食べ物一つに対し感謝することを忘れていた私にブレーキがかかったような気がした。食事も沢山はいらない、少しの量を味わいながらゆっくりと食べたいと思うようになった。お酒もタバコも気休めにたくさん吸ったり飲んだりするのではなく、一本一本味わって一つ一つに感謝したいと思うようになった。あのホームレスの男性に大切なことを教わった一日であった。本当にありがとう。 (文:ニュージーランド在住、Reeoko/吉田たつちか)200707絵:7月号-67

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