おもしろコラム7月号
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の高級卵は、やれ黄身の色が濃いだの、爪楊枝を刺しても倒れないなど邪道がまかり通っているが、放し飼いの黄身は特別な色をしていなくて、ごく普通であり、黄身も時として割り出すと崩れてしまうこともある。狭いゲージで機械の一部のように飼われた鶏の卵との違いは薄皮に顕著だ。殻と白身の間にある薄皮が自然卵のものは強靭である。そして、毎日食べていると気付かないが、たまに、スーパーの安い卵を食べると食味(ニオイ)が悪い気がする。一昔前までは、どの家庭でも、小さな鳥小屋を作り、毎日、生みたての卵を採って食べていたものだが、今では、よほど山間部にでもいかなければ、鶏の鳴き声がうるさいといって近所から顰蹙をかうことになる。牛丼といえば、吉野家が最近、肉を熟成させて使っているとのニュースがあった。牛肉は適正な温度で寝かせると、時間とともにタンパク質が分解され、うまみ成分であるアミノ酸に変化していく。そしてペプチドという成分が増えることで牛肉の酸味が抑制され、まろやかになる。これまで吉野家は、冷凍していた肉を解凍、スライスし、調理するまでに経過する期間を熟成期間としていたが、現在は、従来よりも約2週間早く冷凍から冷蔵に移行し、熟成期間を延長することで更にうまみが増し、肉の食感も向上したおいしい牛丼の提供が可能となったと、HPではリリースしているが、私の近所の吉野家には、そのことをアピールしたポスターもチラシもまだ、見当たらなかった。2歳まで日本いて、5年間アメリカにいた上の孫は、生卵が食べれなくなっているとのこと。本当に美味い卵を持っていって、日本人の原風景のひとつでもある卵がけご飯(TKG)を再び好きにさせてやろうと思っている。     (ジャーナリスト 井上勝彦絵:そねたあゆみ)201407/-   7月号-69

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