おもしろコラム7月号
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     飲み物たちの歴史  食文化研究は食べ物が中心で飲み物は第二になりがちですが、人間は何も食べないでも水さえ飲んでいれば2週間以上生きられるそうなのですが、水がなければ4〜5日持たないくらい大切なもの。そして食べ物に多くの料理バリエーションがあるがごとく飲み物もたくさんのバリエーションがあります。「人は    7月号-70  パンのみにて生きるにあらず」という言葉がありますが「人は水のみにて生きるにあらず」でもあるのです。さて人類の記録上、水や白湯以外でどのような飲み物があるでしょうか? のですが、それはビールやワインだといわれています。 「人類が農耕を始めたのはビールやワインを飲みたかったから」という説があるくらいです。まだ農耕がはじまったかはじまっていないかという1万2千年前に作られた現在のトルコにある世界最古の遺跡『ギョベックリ・テペ』で発掘された器には小麦を発酵させた痕跡があるといいますから、あながち嘘ではなさそうです。人類が料理をはじめてから、当然スープや汁物は作られていましたが、飲み物らしい飲み物の登場はやはりお茶でありましょう。お茶が歴史に登場するのは3世紀頃、場所は中国、ちょうど三国志の時代です。当時のお茶は大変高価なものでしたが時代が過ぎるうちにどんどんと中国中に広まり、唐の時代(618〜907年)になると、お茶は全中国で飲ま●人は水のみで生きるにあらず●お茶の登場これは以前にも一度述べたことがある    

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