おもしろコラム7月号
84/197

よく「昔の日本人は肉を食べなかった」と言われたりしますが、仏教が伝来するまで狩猟で得た獣肉は普通に食べていましたし、仏教の影響で天武4年(675年)に最初の「肉食禁止令」が出されるのですが、禁止された肉は牛、馬、猿、鶏、犬の5種類だけ。それも農業をやっている4月から9月の間限定であったのです。ここで賢明なみなさんならお気づきでしょう。「肉食禁止令」といいながら、鹿や猪、兎に野鳥といった一般に狩りの獲物となる動物たちを食べることは禁止されていないのです。牛、馬、猿、鶏、犬を食べることが禁止となった理由として、牛や馬は運搬や田畑を耕すのに役にたち、猿は人間と容姿が似ているため、鶏は朝を告げるのに役にたち、犬も狩猟や番犬に役にたつからというもの。禁止された五種の動物も農閑期であれば食べてもいいということになっていました。もっとも日本人は牛や馬を食べる習慣はほとんどなく、元気な牛馬は食べるよりも運搬や耕作で働かせたほうがお得なので、明治維新が来るまで食べることはありませんでした。では豚や鶏はどうかというと、豚は縄文時代から弥生時代にかけて大陸から入ってきましたが、やがて鹿児島や沖縄以外では、あまり飼育することも食べることもなく、鶏も鳴き声を楽しむためや闘鶏のために飼っていましたが、食肉目的ではなく、卵も戦国時代に宣教師が南蛮菓子を作るために利用するようになってから、卵を食べるようになったようです。●昔の日本人は肉を食べていた●なぜか日本人は動物を育てて食べることをしなかった         7 月号 -84  

元のページ  ../index.html#84

このブックを見る