おもしろコラム 8月号
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絵:吉田たつちか)202108呼び方も多いんですよ。大阪ではこれがなまって「がたろ」ともいわれています。ば、和歌山県の「甲羅法師」はその名の通り甲羅を背負った河童で、相撲好きとしても知られています。砂浜で誰彼構わ川だず相けで撲なにく誘海うにのもだそ河童うに。準他じの地た妖方の怪は河い童まもす相撲。同好きじくが水多難い事らし故にく警、相戒撲すをる取たっめたにと生いみう出伝さ説れがた多のくで残しっょてうい。ま例すえ。  –174–他にもキュウリが好きだったり、水難事故だけでなく可愛い側面も持っているのが河童といえるでしょう。このようにキャラクターが確立しているということは、それだけ人々のそばにいるからと考えられます。何をするのでも水は必要です。食事にも洗濯にも。日々の食卓にのぼる魚も水の中の生き物です。現代以上に水辺に人々はいました。だからこそ、河童も身近だったのでしょう。生活に溶け込んでいるから、好きなものも考えてもらえたのでしょうね。夜の闇も、人々の想像力をかきたてたのでしょう。今は夜でもコンビニエンスストアの灯りが煌々とし、闇はなくなってしまいました。それでも河童の言い伝えが残っているということは、可能性を信じたい人が多いからでしょう。人間が分かるものだけが、この地にいるわけではない。畏怖の念ともいえます。これがなくならない限り、河童は水難事故から私たちを守ってくれるはずです。        (コラムニスト ふじかわ陽子/-  

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