おもしろコラム9月号
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いうことになります。なぜ、最初からヒト試験をして効くか効かないのか白黒つけないのかというと、安全性の問題もありますが、何と言っても費用対効果の問題です。インビトロの実験というのは、本来メカニズムを研究したりスクリーニング(=ふるいにかけること。つまり、たくさんの素材の中から有用なものを選び出すことです)のために行われるものです。例えば、ある医薬品が血圧を下げる効果があったとすると、医薬品の登録申請の際には、その医薬品はいったいどのようなメカニズムで血圧を下げているのか作用機序を明らかにしておかなければならないのですが血管拡張する効果(血管が拡張すると血圧は下がります)があるのか、それとも血圧を上げるホルモンの働きを抑制するのかといったようなそれぞれの作用する場所で起る反応を試験管の中で再現してメカニズムを調べています。ここで注意が必要なのですが、インビトロの実験成果は実は余り当てにはなりません。どういうことかと言いますと、インビトロの試験結果で有効であっても実際に   99

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