おもしろコラム9月号
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それまで、陸軍内部でも盛んに開戦論をぶちあげ、時には政府首脳に対し直訴・懇請さえした若い参謀らが多数いたそうですが児玉大将が総参謀長に就任し、参謀本部に乗り込んできたとき、「開戦ですか!」と色めき立つ幕僚らに児玉は軽く頷きながら、「さぁ、主戦場となる満州の地図を出せ」と言ったら、その場にいた青年将校たちが、皆、顔を見合わせ、「地図・・・ですか。有ったか?」と言い合ったとか・・・。早速、「何ぃ!貴様ら、戦争、戦争と騒いでおったくせに地図も用意しとらんで言うておったのかぁ!」と児玉大将のカミナリが落ちたと言いますが、この話は大変、考えさせられる話です。 散々、「今しかない!」と名論卓説をブチあげていたエリート参謀たちが、実際には地図も用意してなかったと・・・。つまり勝てるかどうかを詳細にシュミレーションした上で言っていたわけではなかったわけですね。まあ、彼らには彼らなりの考えがあっ   122

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