おもしろコラム9月号
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による租税法定主義)」というが、これは理念の上では間違っていないが、現実には、必ずしも額面通りに受け取ることはできないこともまた事実である。だが、それを踏まえた上で、敢えて、「税は国の基本」というのはなぜか。それは、一部の途上国などが、未だにこの部分が確立しないがゆえに、国家として機能し得ていないからである。ある国では、入国時の入国審査の際に賄賂を要求された。賄賂を払うまで、入国手続きを意図的に遅らせ、嫌がらせをするのである。また、ある国では、映像で、まともな納税根拠も無しに徴税官が国民から問答無用で奪っていくのを見た。翌年の収穫のための種芋でさえも、「そんなこと、俺たちの知ったことでは無い」の言葉と共に奪っていく。彼らの頭には、来年からの税収がどうなるとかそういうものはない。どちらのケースにも、あるいは、官吏の側も自身の給与が満足に出ていないというようなこともあるのかもしれない。が、そうなってもいいのだろうか。国が安定しないと、かえって高くつくということは、今更言うまでも無いことのはず。つまり、税金の使いみちの問題は一旦、置くとしても、国家が安定するには、徴税という、もっとも足下の部分が確立する必要があるということは紛れもない事実である。     (小説家 池田平太郎絵:吉田たつちか)201809 /-  132

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