おもしろコラム9月号
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時、挙兵するに際しては貯めておいた銭で傭兵を集めなければなりませんでした。 兵力も力量も互角だったとしても兵員の質という点では著しく不利であることは否めません。その上さらに、黒田家のなけなしの主力部隊は一人息子の長政が率いて他ならぬ家康の下にあったことから、「父が独立しますから帰らせて下さい」で帰らせてくれるのか?という問題が発生するわけです。この辺を考えれば如水ほどの人がこういう夢物語を本気にするとは到底思えず、むしろ、如水の恐るべき点は関ヶ原合戦では終始一貫、しっかり籍は東軍(家康方)に置いていたこと。つまり、攻撃する相手はあくまで西軍(石田方)の大名のみ。これでは家康もケチのつけようが無かったでしょう。その意味では家康がもし、本当に恐れるとすれば、秀吉の遺児秀頼が出馬し、如水が任されて軍略を練るという場合のみだったかと。  (小説家 そうなると、仮に家康と如水の池田平太郎絵:そねたあゆみ)201609)/- 134

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