おもしろコラム9月号
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手塚治虫の「ブラックジャック」と言う漫画をご存知でしょうか?言うまでもなく、巨匠、「手塚治虫」の代表作の一つです。このマンガ・・・、今でも売れ続けている、知る人ぞ知る超ロングヒットなのです。ただ、この漫画が出る前に「神様」手塚治虫が置かれていた状況と言うのは、決して、順調なものではなかった。かつてのように、出す作品、ことごとく子供達の心をわしづかみ・・・というわけにはいかなくなっておりもう誰の目にも、手塚の時代は終わったと映っていたそうで、ついに、手塚プロ倒産で自宅売却。起死回生で最後の望みを託した「ミクロイドS」という作品も半年で打ち切り。まさしく、どん底の状態だった。そこへ、少年チャンピオンが「ブラックジャック」を連載することになって、編集長が担当者を募ったところ、誰しも、落ち目の作家など担当などしたくはないもののようで、やむなく、ある担当者にその話が廻ってきたそうです。その人も、(こんな落ち目の作者、嫌だ!)と思い、「手塚先生じゃ、もう、だめですよ。」と言って逃げようとしたところ、編集長から「だめなのは俺にもわかっている・・・。なあ、手塚先生の死に水をとってやろうよ・・・。連載と言っても、5回だけだから・・・。」と言われ、渋々、押し付けられたそうです。当時、コンセプトとして、「医者もの」「劇画タッチ」と言うことはあったが、それでも、誰も期待などすることもなく出版されてからの読者アンケートでも、16作品中12位で誰もが内心、「やはり・・・」の世界。 ブラックジャックに見る人間万事塞翁が馬         137

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