おもしろコラム9月号
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        日本に住んでいると、こんなあたりまえのことは忘れてしまいがちだが、海外でここまで気の利く接客は聞いたことがない。なにかしらサービス業を行う上で、経営者は先ず顧客のことを一番に考える。どうすれば満足の行き渡る接客が行えるか、どうすればお客様に喜んでもらえるか、これは当然の考えのように思えるが、海外でこんな考えを皆が皆持っているわけではない。不良品の返品ひとつにしても、「何日ごろ到着予定ですので、確認の為、一度お電話ください。」とこうだ。日本であれば、客に何か行動を起こさせることは先ずないであろう。お客様は神様のごとく、サービス提供者が自発的に完璧なサービスを目指そうと試みるのは日本では常識だが、海外では残念ながらそうではない。海外のお粗末なサービス実態を挙げれば限がないが、 テレビや衛星放送、ホームシアターなどの接続は、まず信用できない。日本では、電気屋から委託されているエンジニアや配達係りの人が各家庭に派遣され、床や壁が傷つかないように大きなクロスを敷き、あっという間に接続が完了する。散らかった段ボール箱やビニール袋ももちろん綺麗に掃除して帰ってくれる。そして時々店頭で見かける表示が、「配達員の靴下はいつも綺麗な真っ白を履いています。」こんなことが海外ではありえるだろうか。つい最近、我が家にオーディオセットの配達と接続に、エンジニアの人が来てくれたのだが、「このスピーカーから音が出るはずだが、何らかの理由で音が出ない。自分では分かりかねるので、もう一度店頭に行って担当者に聞いてください。」私は怒りを通り越して呆れかえってしまった。エンジニアの彼に分からないものが、どうして店頭の販売員に分かることができるのだろうか。彼は十分に調べることもなく簡単に諦めて帰ってしまった。結局、旦那が説明書を見ながら直すことができ一件落着となったが、どうしたものだろうか。私達には考えられない話だが、この国では特に珍しい話ではない。158

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