おもしろコラム9月号
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た今でも彼岸花の根は絶えることなく、そして毎年自然に開花し、あちらこちらで赤々と咲き続けているのです。彼岸花の名の由来も死のイメージと結びつけられます。開花は九月中旬。それがちょうどお彼岸の頃なので彼岸花と名づけられました。お彼岸、イコール墓参りですからどうしても死のイメージがぬぐえませんね。このような悪いイメージを嫌って、彼岸花ではなく曼珠沙華という別名を使ってイベントが開催される場合があります。ちなみに曼珠沙華とは元々は仏教の世界の言葉であり、それを見た者はおのずと悪事から離れて改心するという素晴らしい天上の花のことを意味していました。その花の色は白だったのですが、現在では色は関係なく赤や黄でも曼珠沙華と呼んでいます。韓国では、花が枯れた後に葉がでる性質を男女の恋愛に例え、『会えなくともお互いを慕い合う相思花』と呼んでいます。所変われば良いイメージが持たれる花なのに、日本では悪いイメージが定着してしまって、ちょっとかわいそうかもしれませんね。     (小説家 花見とともに、日本人に人気のある季節のイベントといえば、お月見だ。これは、平安時代中期に唐の国から入ってきたもので、宮廷のお祭りの一つとして定着した。日本では、月見団子を食べるが、本家の中国では月餅を食べる華山 姜純絵:吉田あゆみ)201109/-     お月見今昔23

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