おもしろコラム9月号
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・インド人(ヒンズー教徒)が牛を食べないのは、牛を食べるより生かして、糞を燃料にし、無料の耕耘機がわりに使役したほうがお得。・アラブ人(イスラム教徒)が豚を食べないのは、水が少ない砂漠では、本来、豊かな水で育った森林に住む豚を飼うより、別の動物を飼育したほうがお得。豚を避けることで、豚による寄生虫や病気も避けられお得。と、各文化、民族で、いか生き残るのにお得であるかで、違う食文化が育ってきたのです。当たり前ですが、生き残るのに損になるような食に限らず、基本的にすべての文化において育ちにくいのです。ただし、文化がホンモノになるためには、損になるもの、無駄なもの、必要不可欠ではなく不必要かも知れないものを、ふんだんに蓄え、その不必要かも知れないものを発展発達させなければなりません。それは美術や芸術、そして美食のような、必ずしも生きるためになくてもいいものを、発展発達させねば真の文化文明とはいえないのです。贅沢な美食もまた、生きるのに必ず必要ではないものです。でも、できれば贅沢をして美味しいものを食べたいもの。好きなもの食べられるのは、王侯貴族や大富豪といった支配階級です。世界的に影響力のある料理、例えば世界5大料理といわれる国々は、どこも大変豊かな国であると同時に王や大富豪が料理を発達させてきました。世界の美食の頂点といっていいフランスは、ルイ王朝があり、フランス料理に絶大な影響を与えたイタリア料理を支えたのは、イタリアの大富豪メディチ家でした。アジアだと、タイ王家のタイ国からはタイ料理。自らを華の中心と考える中華思想を持つ中国も、王朝が宮廷料理を作り贅の限りをつくしました。●美食は王侯貴族大富豪が発展させてきた     39

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