おもしろコラム9月号
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けなどをするのですが、そのときタクアンなどで茶碗などをぬぐっておしまい。あまり衛生的とは言えませんね。水が貴重ということもあって、ジャブジャブと洗うことはあまりありませんでした。江戸時代でも長崎など一部の西日本は箱膳ではなく、ちゃぶ台を使用して食事をしていました。それが全国に広まったのが明治時代です。明治になると西洋文明がどっと入ってきます。ちゃぶ台の「チャブ」とはその当時「西洋料理」の俗称でした。もしかしたら、当時の日本人にとってちゃぶ台は、ハイカラな食卓に映ったのかも知れません。明治、大正と箱膳の使用は減り、ちゃぶ台の使用が増えていきます。それが逆転したのが昭和一桁代。昭和の中期になるとほとんどの家庭でちゃぶ台が使われるようになりました。昭和を象徴するアニメ『サザエさん』では一つのちゃぶ台を一家が囲むシーンが頻繁に描かれています。まさに昭和の家族を表すものがちゃぶ台でした。そしてちゃぶ台を囲んで一家団欒というのも電気が発達した昭和の風景なのです。それ以前は「食事中に喋るのは行儀が悪い」という考えか●明治時代、箱膳からちゃぶ台へ       45

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