おもしろコラム9月号
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ら、あまり喋ることもなく、特に夜は真っ暗になってしまうわけですから、団欒という雰囲気ではなかったようです。戦争が終わり、これまで以上に欧米の文化が入ってくるようになると、日本の食卓を席巻していたちゃぶ台に強力なライバルが現れます。それがダイニングテーブル。ダイニングテーブルを使用する家庭は戦後急速に増えていきます。昭和の象徴であったちゃぶ台と逆転するのは、1970年前後。昭和でいうと45年前後ですね。平成の時代では各家庭の7割以上がテーブルになっているようです。また昭和の終わりあたりから、父親は仕事で帰りが遅くなり専業主婦の母親も少なくなり、子どもは遅くまで塾や習い事と一家団欒できる家庭は減り、孤食が問題化していきます。食卓というのは、どうも時代によって大きく変化するようです。江戸や明治・大正の人が、日本人の多くが、西洋人のようにテーブルで食事をするなどということは想像できなかったかも知れません。もしかしたら令和の時代、あるいはその先の未来、私たちの食事風景はいまと全然違うものになっているかも知れませんね。        (文:食文化研究家 巨椋修(おぐらおさむ)絵:吉田たつちか)201909/-     ●昭和後期から平成にかけてダイニングテーブルが多くなる●令和の食卓は?46

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