おもしろコラム9月号
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この主食と副食、ごはんとおかずという食文化が後の和食の原点となります。日本人独特の食事の仕方に「口中調味」という方法があります。ごはんと副食を口の中に入れて噛みしめ混ぜ合わせる食べ方ですが、この食べ方は欧米にはもちろん、中国や韓国にもないのです。あくまで推測ですが、日本人独特の「口中調味」は、弥生人たちが発見・発明した食べ方なのではないでしょうか?日本は瑞穂の国、瑞穂とはみずみずしい稲穂のことで、日本人にとってコメは特別な食べ物であり、そのコメとおかずを美味しく食べる方法として、口中調味が生まれたのだと思うのです。     (文:食文化研究家 これまでも昔の日本人は肉をあまり食べなかったという話しは書いてきました。ある学者が調べたところ、大正時代の日本人における年間のお肉消費量は3.75グラム。かつては肉食をしないと思われていたチンパンジーは、実は狩りをして年間25グラムもの肉を食べるそうですから、いかに昔の日本人が肉を食べなかったのかがわかります。日本人が本格的に肉を食べなくなったのは、江戸時代に入ってからで、特に五代将軍徳川綱吉が行った『生類憐み巨椋修(おぐらおさむ)絵:吉田たつちか)201809●大正時代、日本人は肉を4グラムしか食べなかった 日本人と肉食と牛乳と  /-    53

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