おもしろコラム9月号
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の令』の時代。それまではヨーロッパや中国ほどではないにしても、それなりに食べていたのです。ただ、日本には牧畜や養豚の習慣がほとんどなかった。必然、食べる肉は野生の動物か、身近に飼っていた犬。戦国時代に日本にやってきた宣教師のルイス・フロイスが「ヨーロッパ人は牝鶏や鶉・パイ・プラモンジュなどを好む。日本人は野犬や鶴・大猿・猫・生の海藻などをよろこぶ」「ヨーロッパ人は犬を食べないで、牛を食べる。日本人は牛を食べず、家庭薬として見事に犬を食べる」と書き残しているくらいです。ところが、江戸時代の『生類憐みの令』で、日本人の肉食の習慣がどっと減りました。 『ミートハンガー』という言葉があります。『肉の飢え』という意味。世界の食文化や食の歴史を調べていくと、どうも人類は食肉というものに、特別な関心がある動物らしいのです。かつて共産圏だったある東欧の国では、食料は配給制でした。あ   るとき旧共産圏のある国で、肉の配給が滞ったことがあり、そのため大規模なデモが起ったことがあります。まさに「肉を食わせろデモ」と言っていいでしょう。ちなみにその他の食料で、カロリー的●なぜ日本人に『肉の飢え』が起らなかったのか?54

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