おもしろコラム9月号
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ち込んで根付いたということも言えるわけで、どうにも真相はわかりません。いろいろな説がありますが、わたし個人の考えとしては、広東から伝わったものが日本風にアレンジされて「おでん」「関東煮」になったというのが妥当ではないかと思っています。おでんの発祥は室町時代からとか、江戸時代からという説もありますが、串にさした具を醤油味の汁で煮込むようになったスタイルは、明治以降に生まれたものであり、全国に広まったのは昭和になってからのようです。他にも「しゃぶしゃぶ鍋」は、昭和27年に大阪のスエヒロという店が開発した比較的歴史の浅い料理です。そしてこの「しゃぶしゃぶ」にそっくりなのが、タイ国の名物「タイスキ」ですが、これはタイの伝統料理ではなく、日本人観光客向けに開発された料理のようで「タイスキ」のす「スキ」は、日本の世界的ヒット曲、坂本九さんの「上を向いて歩こう」の英語名タイトルが「スキヤキ」であったことが「タイスキ」命名の由来です。また、北海道の「ジンギスカン鍋」は、鍋というより鉄板焼きですが、これも昭和になってから生まれたもので、モンゴル料理とはまったく関係ありません。もちろん「昔、英雄ジンギスカン率いる蒙古軍が、自分たちのヘルメットを利用して羊の肉を焼いたのが、いまのジンギスカン鍋の発祥」というのも、一種の都市伝説。そんなことは一切ございません。どうやらあのヘルメット型の鉄板は、羊の油を落とすために作られたもののようで、あのカタチから蒙古軍の兜を想像できるため、そのような説が生まれたの       58

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